【完】サックスパートの日常
辞書
「ここはもっと抑揚をつけて…」
パート練習中、いつも通り注意をする。
「抑揚ってなんですかー?」
すると舞ちゃんがそんなことを聞いてきました。
「なにおまえ、そんなのもしらねぇの?」
呆れたように言う和樹くん。
「舞ちゃん、そこにある辞書で調べなさい。」
近くにあった辞書を指差して言う。
「はぁい。えっと……高低に差をつけて?どういうこと?」
「和樹くん、説明してあげなよ。舞ちゃんかわいそう。」
混乱する舞ちゃんを助けるようにナミちゃんがそう言う。
「は!?なんで俺が…」
しょうがねぇな、と言いながら舞ちゃんの所に行こうとする和樹くん。
「和樹くんちょっと視界に入ると笑えてくるから私の視界はいらないで。」
「舞ちゃん、それめちゃくちゃ。抑揚っていうのは……」
和樹くんがあまりにも不憫すぎて代わりに私が説明する。
「あれ、先輩、舞に怒らないんですか。俺このままスルーですか」
少し不満げな和樹くん。
「和樹くんうるさい。話聞いて」
舞ちゃんは頭いいくせに言葉を知りません。