【完】サックスパートの日常
それはおいといて、つまり、ななちゃんが使う楽器がないのです。
「えー!!ちょっと和樹くん!楽器買ってよ!」
和樹くんが楽器さえ買えば和樹くんの使ってる学校の楽器がななちゃんのものになる。そんな思いでいう。
「そうだねー、竹田くんが楽器買うのが一番いい解決策だねあはは。」
毒舌ゆるふわ系の先生もそう言う。
そして和樹くんの返答。
「あ、もう買いました。」
「え⁉︎いつ⁉︎」
まさかの答えにみんな驚く。
買ったのならそれ使えばいいのに。
「だいぶまえ。でも壊れてるんですよ……」
和樹くんがそう言うとフルートの男の子が、
「いや、返品しろよ。」
となんとも的確なツッコミを。
「でも、どうせまた不良品が届くからいいよ……俺運悪いからさ…」
しょんぼりする和樹くんに先生が苦笑しながら言う。
「いやいやいや、持ってこようよ。七菜香ちゃんがかわいそうじゃん。」
「えー、持ってくるだけ持ってきます。」
実際のところ、和樹くんの楽器は壊れてなくて、ななちゃんも無事テナーサックスを吹くことができましたとさ。