【完】サックスパートの日常
コンクール
そしていよいよコンクール当日です。
今まで、ながーくゆるーくサックスパートの日常を書いてましたが、その背景にはコンクールの練習で折れそうな精神を支え合っていたのです。(と思いたい)
この日のためにずっとしてきた練習。
たくさんぶつかったり、すれ違ったりした。
「みんな、頑張ろうね!」
ドキドキしながらそう言う。
「はいっ!」
少し緊張を含んだ声のナミちゃん。
「あたりまえです。」
すごく余裕そうな和樹くん。
「うぅ……お腹痛い……」
緊張しすぎの舞ちゃん。
「えっ⁉︎舞ちゃん大丈夫⁉︎」
表情からは読み取れないななちゃん。
「もうトイレ行けないよ⁉︎」
いつものごとく、ナミちゃんがキャーキャーと騒ぎ出す。
「もう、リハーサル始まるけど、休んどく?」
舞ちゃんに聞くと舞ちゃんは泣き出してしまった。
「うわぁん…痛いよ……全部和樹くんのせいだ!」
「はぁ⁉︎俺悪くないし!!」
そして悪ノリするナミちゃん。
「舞ちゃんに謝ってよ!」
ななちゃんは毒舌を吐いていた。
「舞ちゃん、落ち着け。確かに和樹くんを見ると吐き気がするけど…」
「おい、七菜香。それどういう意味だ。」
「そのまんまだよ。」
代わりに答えるナミちゃん。
「もーっ!みんな落ち着いて!!コンクール前なのにこの和やかな雰囲気はなんなの⁉︎緊張感持とうよ⁉︎」
そう、キャーキャーとやってると先生が苦笑しながら私たちを見てきた。
「サックス、最後の自由練習時間だよ?」
「あ、取り込み中なんで大丈夫です。」
あーだこーだしてるうちに、みんなの練習も終わりサックスはチューニング(音を合わせること)しかできなかった。