初夏…君を想う季節
パスタも食べ終え、紅茶を飲んでいるときだった。

「桂くん、このあとの予定は?」

「特にはありません。」

「そうか。ならもう少しだけ付き合ってもらえないか?」

「えぇ、構いませんが。どちらに?」

「それは着いてからの楽しみにしておいてくれ。じゃ、行こうか。」

「はい。」

会計をしようとレジへ向かうと、もうお支払いは済んでおります。
と笑顔で返されてしまった。

「ちょっと、先生!どうして何も言って下さらないんですか。」

「何も気にすることはない。僕から誘ったんだから。」

「気にもなりますよ。少しくらい出させてください。」

「ならば、こうしよう。僕にもう少し君の時間をくれないか。それでちゃらだ。」

「そんな…。」
見据えられたその目は、もう何も言ってくれるなと言っていたので黙ることにした。

「分かりました。じゃぁ、次の機会がもしあればその時は私に払わせて下さい。」

「いいとも。」
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