初夏…君を想う季節
「こちらこそ宜しくお願いします。
こんな日が来るなど考えてもいませんでした。」

「僕もだ。僕の全身全霊をかけて幸せにするよ。」

「…はい。」

こんなにも遠いと思っていたことが現実になるなんて思っていなかった。
そう願うばかりで何も行動しなかったのだから当然だろう。
今この瞬間をずっと目に焼き付けていたいと思った。

「着いたよ。」

「ありがとうございました。
少し上がっていかれますか?」

「いや、また突っ走ってしまいそうなんだ。
このまま帰るよ。」

「そうですか…それではまた大学で。」

「あ、これ僕のアドレスと番号だ。
いつでも連絡をくれると嬉しい。待ってるよ。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「それじゃぁ、お休み美桜。」

そう耳元で囁いて人の顔を茹で蛸も真っ青なくらいに
赤くさせた先生は颯爽と車に乗ってしまった。

「おやすみなさい、雪さん。」




(雪さん、貴方の目に私はどんな風に映っていたんですか。
ずっと見ていてくれていたんですか。
まだまだ貴方を知らない。もっと知りたいです…貴方を。)
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