初夏…君を想う季節
「あ、いや別に気にすることじゃない。
ごめんごめん、えっとなんだっけ。
好きな食べ物だったね、んーそうだな、カレーとかオムライスとか
子供っぽいだろうがそういうものが好きだ。
苦手なものは、生魚と貝類。
趣味は、食べ歩き。
いつから見ていたのかっていうのは
多分初めて声をかけて話した時から惹かれていたと思うよ。
一番リラックス出来る時間は、長風呂につかっているときかな。
そんなに余裕なかったんだな、俺。もっと平静を保てているつもりだったのに。
あぁ、大学では僕と言っているが、大学以外では基本的に俺だ。
こんなところか、途中で口をはさんですまなかった。
他にも聞きたいことがあったんだろう?続きを。」

「あ、いえ大丈夫です。ありがとうございます。
慣れていなくて沢山ご迷惑をお掛けするかもしれませんが、よろしくお願いします。」

「そうか。また何か気になったら何でも言ってくれ。
そんなことは気にしなくていい。
君のそのままで居てくれたらそれだけで十分だ。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「それと、敬語も徐々に使わなくなっていけばいいと思ってる。
それは俺にも美桜にも言えることだが。」

「えっと…うん、わかった。
慣れるまでには少し時間がかかると思いますが努力します。」

「徐々にでいいんだ。ゆっくり二人で同じ時間を生きていきたい。」

「よくそんな照れるようなことを恥ずかしげもなく…。」

「はは、すまない。でもいつか月が綺麗だと言ったら
死んでもいいと返してくれるような関係になれるよう努力するよ。」

「雪さんったら。そんなこともうとっくに思ってますよ。
だって気がついたら、心の中に貴方が住んでいて
どれだけ追い出そうとしても
貴方の笑顔ばかりが浮かんでくる…
そんな毎日をずっと3回生のころから続けているんですから。」

「美桜…自覚して言っていないのが毒だ。
君はもう少し自覚したほうがいい。
綺麗だということも、その言葉を言ってしまったらどうなるかも。
隣にいなくて良かったとつくづく思うよ。
この電話を切ったら俺は少し頭を冷やしに外に出ることにする。」

「自覚?なんのですか?先生こそ自覚なさって下さい。
ほかの女生徒がどんなに素敵だと騒いでいるか…。
そうなんですか?もう電話は切ったほうが?」

「あぁ…もう。やっていけるか心配になるよ。
そんなことは知らない。君しか見えてないんだから
そんなことはどうだって構わない。
そういう意味で言ったわけじゃないよ。
紛らわしいことを言ってしまった、すまない。」
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