初夏…君を想う季節
「あぁそうだったのか。
卒論の進み具合はどう?
若気の至りみたいな真似をよくしたもんだ。
美桜はあまり自分を褒めたがらないから
代わりに俺が言っておこうと思って。」

「もうあと少しで書き上がります。
どなたか先生のチェックは必要になるでしょうから
その時は宜しくお願いします。
雪さんは私を幸せに溺れさせたいみたいですね…。」

「え!?もう書き上がるの?一体いつから手を付けだしてたんだ。
あぁ、わかった。特に直すところもないだろうが
一応添削はさせてもらうよ。
あぁ、ずっとこの腕の中で幸せを感じていてもらいたいからね。」

「最初に手を付けだしたのは2回生の終わり頃だったと。
3回生の4月にはテーマをどれにするか絞っていたので。
そうですね…あと5日ほどで提出できると思いますので
よろしくお願いします雪先生。
幸せなら十分すぎるほど感じています。」

「美桜…君ってほんと素敵な人だな。
そうか、なら月曜あたり声をかけてみるよ。
ありがとう、俺も幸せだ。
心苦しいけど、そろそろ切るよ。
このままの調子だと明日の朝まで電話していそうだから。」

「雪さん、あなたほどじゃありません。
えぇわかりました。月曜日は趣味で取っている
中国語の講義があるので、それが終わり次第ゼミ室へ向かいます。
ふふ、ほんとにそうなりそうですね。
じゃぁ、そろそろ卒論にとりかかります。」

「ありがとう。
中国語まで取ってるのか?!どこまで勉強するんだ。
あぁ、わかった。ゼミ室で待ってるよ。
少し早いけど、おやすみ。
卒論もいいけど、ちゃんと寝るんだよ。」
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