初夏…君を想う季節
気がついたら二時間もその話をしていて
俺はなぜ今までこの学生を知らなかったのだろうと後悔した。

二年も同じ大学の中で過ごしていたというのに。

そう思った時、自分でも驚く言葉を口にしていた。
僕のゼミのどうかと。

二年間お世話になります。といって頭を下げた彼女に
俺は年甲斐もなく強烈に興味をひかれた。






それからの毎日は苦しかった。
教師であるということが自分を追い込んでいた。

こんなことを思ってはいけない、だとか
彼女も一人の生徒なのだから、とか
色んな事が頭の中で葛藤を繰り広げた。

でも、好きになってはいけない…
そう思った時にはもう遅かった。
…遅すぎた。

俺はもうその時にはすでに
彼女に心ごと捕らえられてしまっていたから。

どうやっても、どう変わろうとしても、何をやっても、
気持ちを抑えることに精一杯で諦めることなど
到底無理なことは直ぐに気づかされた。
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