初夏…君を想う季節
そんな気持ちを和らげてくれたのは
彼女との色々な歴史談議に花を咲かせている時間だった。

彼女は自分の勉強もほどほどに
よく話に付き合ってくれた。

昔々の偉人ゲーテは
人生で一番楽しい時間は
誰にも分からない二人だけの言葉で
誰にも分からない二人だけの秘密や楽しみを
共に語り合っている時だと言った。

その言葉は全くその通りで、
俺は多分その時間がなければ
すぐにでも彼女に心の内を話してしまって
色んなモノを壊しかねなかった。


あの出来事…あんなことが起こるまでは
この気持ちを吐露することなど
毛頭ないと思っていたのに…。
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