初夏…君を想う季節
そんなことも知らず、彼女は
少し恥ずかしそうにうつむきながら
“それは私が書いたものだ”と言った。

名前の欄には「皆川 美桜」
と書かれていた。

“き…君が?姓が違うからてっきり…。
あ、いやでも君ならこれを書き上げても不思議じゃないか…”

驚いてそう言うとその時はまだ父親姓で
今は母親姓になったので姓が違うと答えた。






もう必然としか思えないほどの偶然は、
蓋をして鍵までかけてあった自分の気持ちを
吐露するのに十分すぎる材料だった。

30にもなる男がはしゃぎすぎてしまった結果、
彼女を昼食に誘い出すという
自分でも何をしているんだろうと思うような行動に出た。

そしてあげくに俺はその帰り道
彼女に想いを打ち明けてしまったのだ。
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