初夏…君を想う季節
―――。

どうしてお前なんかがこんな高校にいるんだ。
教える方の身になれ。


その言葉は今でも忘れない。
高校2年の夏、私は論文大会に出場していた。
その論文は夏休みを利用して書き上げたもので
自分のことながらいい出来だと思っていた。

本選くらいには選ばれるだろう…
そんな軽い気持ちで提出したものだった。

結果は最優秀賞。
そこを目標に皆出しているのだから
嬉しさがこみ上げてくるものだと思っていた。
まさか、後悔することになるなんて
その時には夢にも思わなかったのだ。

両親も祝福してくれ、
普段よりも少し豪華な食事をし、
次の日高校へと結果報告に行った。

校長室で校長先生と担任を前に
結果が最優秀賞であったことを告げた。

校長は学校の利になると踏んだのか
素晴らしい、君のような生徒を持てて…
とか、なんとかかんとか長い話をされた。

失礼しました、と一言告げ
校長室を後にした時
一緒に校長室を出てきた
担任がそう捨て台詞を吐いたのだ。

ショックのあまり唖然として言葉も出なかった。

私が何をしたというのだろうか。
そんなに悪いことをしてしまったのか。
目立つようなことをしてはならなかったのか。
いろんな疑問が次々と浮かんできて
頭が混乱していた。
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