初夏…君を想う季節
私にとってその論文は
あまり思い出したくはない思い出になってしまっていた。
大学に入る時も論文大会のことは伏せた。
アピールになるとは思ったし、
わざわざ伏せなくてもいいかと思ったが
嫌味に聞こえると言われたりしたことも相まって
言う気にはなれなかった。
結局そのあと、面接で勘づかれてしまったけれど。
入試面接の面接官が
私の論文を審査していた一人だった。
旧姓のままで書類を通したため、
確認のためにと聞かれてしまった。
さすがにそこで嘘をつくわけにもいかず、
伏せたことを言わざるを得なくなった。
「どうして君はこの事を伏せたんだ?
こんな利点をなぜ言わなかった?」
「確かに利点であるとは思いました。
ですが、そこを評価されるより
入試テストや面接で自分自身を評価されて
ここに合格したいと考えました。
その賞を頂いたときの周りの反応が
好ましいものではなかったということも
理由の一つではありますが、伏せてしまい申し訳ありませんでした。」
そう答えた。
「そうか。素晴らしい才能であるのに
それを隠すのは誠に残念だ。
だが、伏せるというのであれば
単純に君自身を評価させてもらうよ。」
「はい、よろしくお願いいたします。」
無事合格し、この大学に入ったときに
自分が今まで生きていた世界など
ちっぽけな物だったと気づかされた。
あまり思い出したくはない思い出になってしまっていた。
大学に入る時も論文大会のことは伏せた。
アピールになるとは思ったし、
わざわざ伏せなくてもいいかと思ったが
嫌味に聞こえると言われたりしたことも相まって
言う気にはなれなかった。
結局そのあと、面接で勘づかれてしまったけれど。
入試面接の面接官が
私の論文を審査していた一人だった。
旧姓のままで書類を通したため、
確認のためにと聞かれてしまった。
さすがにそこで嘘をつくわけにもいかず、
伏せたことを言わざるを得なくなった。
「どうして君はこの事を伏せたんだ?
こんな利点をなぜ言わなかった?」
「確かに利点であるとは思いました。
ですが、そこを評価されるより
入試テストや面接で自分自身を評価されて
ここに合格したいと考えました。
その賞を頂いたときの周りの反応が
好ましいものではなかったということも
理由の一つではありますが、伏せてしまい申し訳ありませんでした。」
そう答えた。
「そうか。素晴らしい才能であるのに
それを隠すのは誠に残念だ。
だが、伏せるというのであれば
単純に君自身を評価させてもらうよ。」
「はい、よろしくお願いいたします。」
無事合格し、この大学に入ったときに
自分が今まで生きていた世界など
ちっぽけな物だったと気づかされた。