初夏…君を想う季節
「そんなに持ち上げないで下さい。
くすぐったいです。
でも、そんな風に思ってもらえたなんて嬉しい限りです。」

「なにも持ち上げているわけじゃないよ。そうか…君が。
会いたいと思っていたんだが、もう気づかないうちに会っていたんだね。
もっと早くに気づいていれば良かったな。」

「人の縁ですかね。不思議です。
でも、そんなに会いたいと思われていたんですか?」

「本当に。世間は意外と狭いものだ。
あぁ、会ってこの論文を書いたときのことを細かく教えて欲しいと
そう思っていたんだ。
君の文才は曹操すらひけをとらないよ。
この感動をただこの論文を書いた子に伝えたかったんだ。
その気があるのなら、君は教授にだって研究者にだって
何にだってなれるよって。
一言そう言いたかったんだ。」

「ありがとうございます。
先生にそんなことまで言って頂けるなんて思ってもみませんでした。
嬉しすぎます。」

「いや僕の方こそ、やっと伝えられたよありがとう。」
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