いつだって僕らは
「燐から手紙は届いたか?」


翌日、悪戯な笑顔を見せながら藤谷は言った。いつもならまず一番最初に「おはよーさん」と言うのに。

「うん、届いた」

「そっか、良かった良かった」

可愛い八重歯を見せながら笑う藤谷を見ながら、あたしは鞄を机にドンっと乗せた。

「柚維?」

笑みを見せていた藤谷が一瞬で表情を変えた。

「・・・あんたね、なんで勝手に住所教えるの・・・」

藤谷の親友というだけで、あたしとは全く関わりのない人に住所が勝手に伝わっているのだ。

今の世の中いろいろと物騒だというのに藤谷は・・・。
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