Rainbow~七色の虹に願いを込めて~




さっきから何も言わない美波。
なぁ、美波。
今何を考えてる?
昔は何も言わなくたって通じ合えてた。
離れていたって心配なんかなかった。
久しぶりに会ったときは時間もたたないうちにいつものように戻れた。



だけど、今は違う。
美波の気持ちがわからない。
今何を考えてるのかな?っていつだって考えてる。
言わなくちゃわからない。
言葉にしてもらわなくちゃわからない。
こうなってしまった。


離れている間も美波がほかの人に目移りしてないかな。
連絡もないときはもう興味なんかなくなっちゃったかな。
俺は美波をつなぎとめていられているのか、と。
前には思わなかったはずの女々しいことさえも考えてしまう。
こんな自分がものすごく嫌だった。



そしてしばらく会わないうちに広がっていく距離はあった時にも感じていた。
昔はこんなんだったっけ?
いつものように話しているかのように見えていたけど、お互いの間に見えない壁が確かにあった。
どこか互いに遠慮がちで。
決定的なことには踏み込めない感じ。
様子をうかがって接する関係になっていたこと。
美波だってそれは感じていると思う。








< 181 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop