瞬間と君

名前

美海side★

『本当に、本当に、変身したの?』

人間の言葉を喋るという普通にありえない猫を前にしてもついつい聞いてしまう

「はい、本当に変身したんですよ」

目の前の猫がちょこんと頷く

とりあえずは家に連れていけそうで良かった


一旦彼が人間の姿に戻ったことを確認して、知っておかないといけないことを聞く

『そう言えば名前ってあるの?』

呼び方が解らなければ流石に駄目だろう

「それは自由に決めていいですよ。
名前決めてください」

まだ名前は無いらしい、と言ってもすぐ決められるかどうか…

そよそよふく暖かな春風で少し乱れた髪を耳にかけ、不意に空を見る

いつにもまして綺麗な空だ

よし、名前が決まった

あなたの名前は『そら』

今日見たこの空をなんだか記念にしたかったから




















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