瞬間と君

約束

空side☆


笑っていた。いつも無表情の彼女が、

素直に可愛い、そう思った
しかし気がつくともういつもの無表情に戻っていた。なんだか残念


もう一度あの可愛い笑顔をみたい
だからきっと笑わせてみせる

そう心のなかで決めた


その時
『あっ』

美海が小さく声をあげた


彼女が見ている方向をみるとちょうど時間になったらしく

公園の噴水が綺麗な造型を醸し出している

『私、よく瞬間ってものをみるの。今の噴水もそれなの。
この体質のせいで悲しいこともあったけれど、こんな風にいい瞬間も見れるんだよ』

「悲しいこと?」

そう聞くと彼女は少し俯き

『そう、まだ言えないけれど…』

そして顔をあげ

『いつか空に話したい事があるの、
だからその時は聞いてね』

「うん、その時は必ず」

そう言って僕は小指をだす

「約束する時はやっぱり指切りしないと」

彼女は不思議そうに小指をだし

『指切り?』

「うん、その方が感じがでていいでしょ?」

そう言うと彼女はなるほどと言う様に自分の小指を絡めてきた。そして

『それもそうだね』

また、彼女が少し笑顔になる

彼女の笑顔は僕まで嬉しくさせる


ゆーびきーりげーんまん嘘ついたら

はりせんぼんのーます指きった



僕らの秘密の約束。



























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