サンドリヨンに憧れて
彼と初めてのデートになったと言ってもいいあの日・・・

ここで待ち合わせをして私達が今こうしている・・・

「孝男さん・・あの・・」

「ん?」

「今日・・家に帰ります・・」

「何でや」

「明日から仕事やし・・それに・・」

「それに?」

「考えたいことが・・・」

「そっか・・残念やな・・」

「でも会社でも会えるじゃ・・」

「じゃ会社でもしてもええか?」

「は?」

「こうやって・・」

私の手に触れてやさしく撫でてきた。

「そ・それは・・あかんでしょ」

「な、そうやろ。だから離れるのが嫌やねん」

こんなことストレートにさらっと言われると心臓に負担が・・・

ドキドキして返事に困ってしまった。

「ほ・・ほら・・ゆっくり考えたらええって・・」

「・・・やっぱやめた。香澄、選択してくれ。俺と住むか住まへんか」

「は・・・いきなり・・何言うの・・」

「俺の独占欲やな」

その言葉・・その笑顔で言うのはあかんやろ・・・

思わず心の奥で呟いていた。
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