サンドリヨンに憧れて
暫く考えていると彼の携帯が鳴った。

「あ・・どうした?」

そのまま会話を続けながら店の外へと出て行ってしまった。

窓の外を見てみると彼が電話で話をしている様子が見えたが、

あの口調だともしかして・・久保さん?営業の人?・・それとも・・

帰って来るまでにちゃんと返事を考えないと・・・

確かに一緒にいれば不安になんてならない。同じ所に帰ってくるし・・

でも晴香さんのことがどうしても気にしてしまう・・

「どないしょうか・・・」

ため息をつきながら言った独り言だったのに

「答えは一つやろ」

後ろから声か聞こえて振り返ると電話を終えて戻ってきていた。

「そんな顔して・・そんなに悩むことか?」

「そりゃ悩みますよ・・」

「ほんなら俺が香澄の家に行こうか?」

「は!?それはあかんやん」咄嗟につっこみを入れてしまった。

「そんなに嫌がらんでも・・」

「・・・わかりました・・・一緒に住むのは週末だけということで・・」

「え・・じゃ普段は行ったり来たりしたらあかんのか?」

「それは・・いいですけど・・時間がないと・・・」

「作ってみせるからな・・俺をだれやとおもってる?」

確かに仕事では鬼軍曹・・・やって見せてしまう姿が浮かんでしまった。

その余裕のある顔にただ笑うしかなかった。

でもやっぱり不服だと言った彼を説得してこの場はとりあえず納得してもらい

次の場所へと出かけた。
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