サンドリヨンに憧れて
「さっきの電話と今の電話・・気にしてるやろ」

「え・・そんなことないです」

「1回目の電話は庄司からや・・明日のことでな・・それで今の電話は・・
父親や」

「え!しゃ・・ちょう・・あ・・お父様・・」

「仕事の話や・・気にせんでええ・・もしかして晴香と間違えたか?」

「いいえ・・そんなん思ってもいませんでした」

「なんでそこ敬語や」

「あ・・・」

「香澄・・分かりやすいな」

彼の口から名前を聞くたびに私の心はイラッとしていた。

これって嫉妬やん・・関係ないって言われてもそう思ってしまう自分が

嫌になっていた。

「・・・ごめん気易く呼んだらあかんな・・ごめん。彼女っていうわ」

察してくれたのかすぐにこういうことを言う彼の気持ちはとても好きだった。

仕事でもそうやって気づいてフォローをいれたりすることは何度も見てきた。

だから彼はみんなに好かれる・・・それで王子と言われてきた。

「彼女のことは兄貴に頼んだ。俺は一切関わりを持たないといったから」

ほっとした気持ちが顔に出たのかもしれない

「やっといつもの顔に戻ったな・・」と言われた。

お店を出た後、何だかスッキリした気分だった。

「香澄」

「え?」

「手繋いで歩こう」

「へ?此処で?誰かが見てたら・・」

「ええよ。その時は俺の彼女っていうから」

隠すって言ったのに・・と思いながら手を繋ぎ歩いて行った。

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