サンドリヨンに憧れて
ドアを閉めた後でも触れた感触が残っていた唇を指で触れていた。

「あ・・ほんまに彼女になったんや・・」

改めて言葉にいうと私の顔はとても熱くなった。

荷物をリビングにおいてシャワーを浴びようと洗面所へいくと

首筋についた跡を鏡で見てまた思い出してしまった。

「明日は髪を下ろそう・・」

服を脱いで身体についた跡を見て彼との触れ合った時間をさらに

思い出してしまった・・・。

こんなにも会いたいなんて思ったのは歴代の男ではいなかった。

「あーこんなにも短期間で惚れるなんて・・・」

この夏季休暇で私の心は営業の王子様に堕ちた・・・。

「明日から・・厄介やな・・」

洗面台に手をつき鏡を見ながら大きなため息をつき

明日の仕事場で失敗しないようにと言い聞かせお風呂場の扉を開けた。

シャワーを浴びて気持ちを切り替えようとしたが、

目を瞑ると彼の顔が浮かんでくる・・

「もう・・あかん・・重症や・・・」

さらにため息をついてシャワーを出てみるとスマホにメールが届いていた。

嘘・・・伸也や・・・

届いていたメールを見てみると今外にいるから開けてほしいと送られてきた。

やっぱりさっきの人影・・・伸也やったんや・・

ということは・・・さっき玄関でキスした所も見たかも・・・

スマホを持った手に力が入った時、インターホンの音が部屋に響いた。

私は怖くなって咄嗟に孝男さんに電話を掛けた。

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