サンドリヨンに憧れて
「変なこと？何言ってんのよ、本当のことやんか、なぁ・・・翔也」

「そうや、この間お前酔って俺に言ってたやろ？好きな女がおるって・・
その女は俺のこと上司としか見てくれてないって・・・」

「今ここで言うなや・・・」

私はこの３人の言葉が全く理解ができなかった。

課長もすきな女性がおるんや・・・会社の狙っていた女子が可哀想・・・

その会話を聞きながら思っていた。

「孝男、その女の人って・・香澄ちゃんやろ？」

「香澄ちゃんなら孝男にお似合いと思うわ」

「お前ら・・本人がおる前で言うなって・・」

「久しぶりに加藤の焦ってる顔見たぞ」久保さんが笑っていた。

まさか王子様が私を？好きって？まさか！そんな冗談みたいなこと・・・

あるわけがない・・・そう思いながら寝ている赤ちゃんを見ていた。

「香澄ちゃん！聞いてんの！」

「え？美鈴さん？何でしょう？」

「香澄ちゃん、ちゃんと聞いてたか？」

「気にするな、横山さん・・そろそろ帰ろか？」

肩をポンと叩かれハッとした。

「はい・・帰ります・・それじゃ久保さん、美鈴さん・・
これから・・育児頑張ってくださいね・・」

「香澄ちゃんも・・いい知らせ待ってるから・・」

「じゃ・・孝男も頑張れよ」

「・・・じゃあな」

二人で病室を後にした。

「ごめんな・・・」突然課長が謝ってきた。

「いいえ・・あんなに可愛い赤ちゃんが見れましたから・・嬉しかったです」

新生児室の赤ちゃんが気になって止まってしまった。

「みんな・・・元気に産まれてきてよかったですね・・」

「そうやな・・頑張って生きてるって思うな・・」

お互いやさしい笑顔で見ていた。
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