サンドリヨンに憧れて
「課長!」

「ごめんな・・お待たせして・・ほんなら行こう・・山田、お疲れ」

「え?あ・・お疲れっす・・」

3人で駅に向かって歩いて行った。

「加藤さん、今日は車は?」

「急な会議やったから・・電車にしたんや」

「それじゃ・・香澄・・また明日・・私、今夜は秀明の家やから、
地下鉄で帰るわ・・・じゃ」

駅前で別れて二人で改札に入った。

ホームで立っていると、無言のままずっとたっている課長が気になった。

「あの・・課長・・」

「もう名前でいいから」

「孝男・・さん」

「ん?」

「何か怒ってる?」

「いや別に・・」

「じゃ・・何で黙ってる?」

「家帰ったら話す・・・」

電車に乗り、家に帰るまでは全く話をしてくれなかった。

怒ってる?それとも・・・

今の孝男さんは・・・一言で言ったら・・・恐怖。

駅に着いて帰り道、夕食はピザを取ることにして家まで歩いて行った。

玄関の鍵を開けて扉を閉めた時、私を急に抱きしめて唇を塞いだ。

あまりの強引さに息も上手くできなくて彼の腕をギュッと掴んだが

離してはもらえることはなかった。
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