サンドリヨンに憧れて
慌てて玄関に向かうとただいまと言ってそのまま2階へ上がってしまった。

いつもの雰囲気と違う・・・やっぱり昼のことが原因?・・・

キッチンに向かい食事を温め直してテーブルに並べていると、

服を着替えた彼が降りてきた。

「ご飯にする?それともお風呂?」

「ご飯でええよ・・」

「ビールは?」

「いらん」

テーブルに座りただ黙々と食事が始まった。

「あの・・孝男さん」

「ん?」

「あれから・・仕事は・・」

「庄司がやってくれた。何も気にすることはない」

「そう・・お礼言わんと・・」

「ええよ・・仕事やし・・」

やっぱり怒っているようにしか感じなかった。食べる気も段々と失せてきた

ので私は途中で食べるのをやめた。

「ごちそうさま・・」

「どうした?」

「何か食欲なくて・・」

「やろうな・・ずっと悩んだ顔してるからな・・」

彼もお箸を置いてしまった。

「香澄・・・今日の帰り、山田と話をしたんか?」

「え・・・」

「山田がな・・俺の所来たんや・・」

「それで?」

「一発かまされた・・俺もあいつのことちょっと考えんと・・あかんって思った」

その一言を聞くことが怖かった・・・
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