サンドリヨンに憧れて
「これは・・夢ですか?・・・」

「これは・・現実やで・・・」

アイスティーをぐっと飲んで一息ついて、課長に聞いた。

「あの・・・私のどこがいいんですか?」

「全部・・それ以上言うことが無いな・・」

じっと見つめられる目線に吸い込まれてしまいそう・・・

「あ・・私・・・」

「ん?何や・・香澄・・・」

その一言で私の気持ちは高鳴った・・・そのやさしい声と眼差しに・・落ちた・・・

憧れの上司から・・・一人の男として今・・見てしまっている・・

「あ・あの・・でも・・私とつきあうと・・会社の人が・・何ていうか・・」

「そんなのほっとけばええやろ・・」

「と言われても・・・私・・標的になってしまいます・・」

「だったら・・俺が守る・・・」

そっと私の手を握り、じっと見つめられた。

「香澄・・・返事は?」

「私で・・いいんですか?」

「じゃ・・彼女になってくれるな?」

「あ・・・はい」とためらうこと無く返事をしてしまった。

「ありがとうな・・香澄・・」

その笑顔と私の名前を呼ぶなんて・・・反則ですよ王子様・・・

この返事をしたことで、私の夏季休暇は・・・とんでもないことになってしまった。
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