サンドリヨンに憧れて
「それじゃ・・今から飲みに行くか」

「え?何処へ?」

「車を置いてから行こか」

「わかりました・・・」

車で課長の家に戻り、そこから電車で繁華街に向かった。

「いつもの居酒屋にしようか?」

「あ、あそこなら、会社の人に見られても大丈夫ですね」

個室に案内されて、いつもように飲みたいが、今日はさっきの出来事で

いつものようには飲めそうもなかった。

「何飲む?」

「あ・・ビールで・・」

ジョッキで乾杯した後、飲んだが、この感じはすぐに酔ってしまうかもと思った。

「今夜はゆっくり飲もうな・・」

「あ・・はい・・・」

ドキドキしながら飲むお酒ほど身体に悪いものはなかった・・

「なぁ・・香澄・・・」

名前を呼びながら髪に触れられたことに驚いて、ビールを吹き出してしまった。

「大丈夫か!」慌ててお絞りを渡してくれた。

「すいません・・・」

「香澄っておもしろいな・・・焦ったんか?」

「課長・・・いきなりは誰だってなりますよ・・」

「なぁ、その課長って言うのやめへんか?」

「じゃ・・なんて呼びましょう・・・加藤さん?」

「それもな・・・名前でええよ・・」

「じゃ・・孝男さんでいいですか?」

「それでええよ・・」

そんな呼び方をしたことがなかったので更にドキドキ感が増した。
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