サンドリヨンに憧れて
「あ・・それと」

「昨日言い忘れたけど・・・昨日の飲み会で俺の彼女やって同期達に
ばれたぞ」

「え・・・それどういうこと?」

「香澄が帰った後、山田が追いかけていったやろ・・拙いと思ってあの二人が必至
に探してたらしい・・そこに俺があの店に来たのを見て慌てて庄司が山田に連絡を入れたけど
電話に出んかった・・・それで事情を聞いて俺が山田に電話した。
そしたらあんなことになった・・・」

「それじゃ・・・その場面を見てたみんなは・・」

「香澄の彼氏が俺ってわかってフリーズしてた女子もおったな・・・」

「あ~・・どうしよう・・・」

「気にすんな・・俺が完全に香澄に惚れてるっていうところ見せてきたから」

「は?」

「まぁ山田との会話を聞いてた奴だけが知ってると思う」

「とんでもないこと言った?」

「俺は普通やけどな・・・」

その言葉を聞いて恐ろしくなり慌てて鞄から携帯を出した。

案の定・・・メールがとんでもないことになってた。

同期数人からの驚きメールが・・・

「孝男さん・・・週明け・・怖くなってきた・・」

「これで堂々と二人で社内を歩けるな・・・香澄・・」

私の首筋にそっと指先が触れてぞくっとした。

「今はやめて・・」

「何もせえへん」

笑いながら言っている彼の目は信じられなかった。

持っていた携帯を没収され私をそっと膝にのせて抱きしめた・・

「香澄・・・今は何も考えんでええよ・・・今日はのんびりしよう・・」

どうすることもできずしばらくじっと彼の膝の上でおとなしくするしか

なかった。
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