サンドリヨンに憧れて
「なぁ藍子・・あんたは別れたくないんやろ?」

「うん・・・あんなに好きになった人・・初めてやし」

「その言葉・・私に言ってどないすんの?」

「香澄と話するみたいに・・素直になれたらええのにな・・」

その顔は私が見ても可愛いと思ってしまうような表情だった。

庄司・・・今ここにきてくれたら・・・ええのにと思っていると

ドアがノックされた。

「え?もうそんな時間?」

慌てて開けてみると、そこには、彼と庄司が立っていた。

「課長・・・」

「こら・・さぼってたな?準備は?」

「あ、後お茶だけです」

「・・・ちょっとええか?」

二人が入ってきて藍子に向かって庄司は歩いて行った。

「香澄・・・席・・外そう」

「う・・うん・・」

ドアをそっと閉めて私達は喫煙ルームへと向かった。

「あ・・私帰りますね」

「ええよ・・みんな会議の準備してると思ってるから・・で、黒田さん
どうやった?」

「話を聞いて・・・私は庄司を初めて殴りたいって思った」

「あぶないな・・・」

「お互い思っているのに肝心なところが通じてないねん・・人のこと
より自分らなんとかせんとあかんのに・・・」

「まぁ・・俺らも迷惑かけたしな・・俺もお礼の意味を兼ねて・・
ちょっとだけ恩返ししといたから・・」

「は?」

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