サンドリヨンに憧れて
ロッカールームに急いで入り、化粧ポーチをもってトイレに向かった。

途中給湯室で話す後輩達の声に思わず足が止まってしまった。

「営業の王子も陥落したわね・・・」

「そうそう・・相手って横山さんって・・」

「でも横山さん・・立川さんの元カノでしょ?」

「うんでも振られてたんだって。って言っても相手は後藤さんで
結婚するし・・・立川さんに対する復讐だったりして・・」

「あの気の強さなら・・あり得るかも・・」

「課長が結婚するって言ってたけど・・何か別れそうな気がする」

「私も・・横山さんじゃ・・ねぇ・・」

その言葉を本人が外で聞いてると知らず、中の話はどんどん酷くなってきた。

「課長ももっと若い子にすれば・・そうそうあんな部下のお下がりなんて・・」

「課長・・可哀想・・・」

確かに・・傍からみたらお下がりなんて思っている奴はいるかもしれない。

ぐっと握りしめた手に力を入れて黙って聞いていると、私の手をそっと握った動作に

驚き振り返った。

「・・・こっちこい・・」

給湯室から見えない死角に引っ張ったのは優大だった。

驚いて顔を見上げていたが、人差し指を口元で立てたのでそのままじっとしていた。

さらにその話は盛り上がってきたのか、増々酷くなってきた。

「そうそう先週末、山田さんと何処かに消えて大変だったんでしょ」

「そうそう・・先輩が同期会に行って、えらいことになったって言ってた」

「何で横山さんであのイケメン達がおかしくなるんよ」

「いいテクでももってるんとちゃう?」

「あー体のこと・・・まぁ・・あの体形じゃそうちゃう?」

「そんなん年齢と経験で相手をその気にさせてるんやろ」

「あ・・・ビッチってこと?」

「そうそう・・」

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