サンドリヨンに憧れて
家の玄関に着き鍵を開けると彼は無言のまま2階へ上がってしまった。

怒らせてしまった・・・・。嫉妬深いとわかっていたのに・・

でも私も嘘はつきたくなかった・・・黙っていれば今頃リビングでさっきの話の

続きができたのかもしれない・・・でもあの複雑な気持ちだと打ち明けてたかも・・

どうすることもできず1階から2階の階段を見上げていると、ドアが開き2階から

私を見下ろすかのように目があった。

「・・・着替えたらどうや」

「あ・・あ・はい・・」

でもその階段を上がろうとしたが、一歩が上がらない・・

怒っている彼に向かって上がっていくほど、今の私には勇気がなかった。

「・・俺が降りな無理やな・・」

先に降りてお風呂場へと消えた。

一瞬すれ違っただけなのに、彼がドアを閉めたのがわかると

その場に座り込んで立てなくなってしまった。

「私・・あほやわ・・・どないしょう・・・」

階段の段にもたれながらため息をつくしかなかった。

結局その場から動くことができず、彼がその姿をみて驚くまで

動くことができなかった。

「香澄・・・何やってんねん・・・」

「・・ごめん・・・」

「・・・とりあえずそのまま風呂に行ってこい・・荷物は俺が持っていく」

私を立たせてお風呂場へ連れて行き、彼はドアを閉めた。



< 171 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop