サンドリヨンに憧れて
指輪をくれた張本人二人がいない昼休み、私達は質問の餌食となった。

後輩や同期、先輩までもが聞いてくる・・・。

「二人そろって指輪って・・どんだけ仲がいいんですか?」

「同期やから・・ほら・・婚期だって・・一緒ぐらい・・」

「一緒すぎます。式も同時やったら・・こっちはどんだけの出費やと思います?」

「あ・それなら大丈夫やから」

「藍子?何んで?」

「私ら・・式は海外やから・・誰も呼びません」

「嘘!」みんなが声をそろえてた。

「香澄はまぁ無理やろうけど・・」

「私は・・まだ・・そこまで・・」

「は?何も決まってないの?」

「まぁ・・そんなとこ・・だってもらったばっかりやし・・」

私の困った表情を見て藍子がくすっと笑った。

「香澄・・あんたのそのギャップ・・・」

「は?ギャップ?」

「恋するお姫様・・って感じ・・」

「は?お姫様?」

その言葉に後輩たちもうんうんと頷いていた。

「は?どういう意味なんよ」

「今の香澄さん・・凄く綺麗ですよ・・物語に出てくるお姫様みたい」

「え?・・・」

「そうそう・・・あんたが夢見てたお姫様・・・」

耳元で藍子が言った一言で頭に浮かんだ言葉・・・。

サンドリヨン・・・あ・・・。
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