サンドリヨンに憧れて
「孝男さん・・・」

「ん?それならもう指輪買うか?ここで」

「え!あかんって!」

「もしよろしければ・・商品をお持ちしますが・・」

「それじゃ!このネックレス!これください」

目の前のショーケースのネックレスを指でさした。

「これか?それとも隣のか?」

値段を見て驚いてしまった。値段が結構高い。どうしよう・・・

「ごめんこんな高価なもの言って・・」

「気にするな・・・すいません・・こっちの商品を・・」高いほうを頼んだ。

「孝男さん・・・ごめんな・・」

「謝るな・・・」やさしく頭をポンポンと叩かれた。

「つけて帰るか?」

「あ・・どうしよう・・」

「つけて帰ったらええやろ・・」

ネックレスをその場でつけてくれた。

「ありがとう・・大事にするから」

「今日のその服装に似合ってるな・・」やさしく微笑んでくれた。

胸元がすごく華やかになった気がした。

お店を出て歩いていると、時々女性が私のネックレスを見ているのがわかった。

「なんか見られてる気が・・」

「きっとネックレスやと思う・・それ最新のデザインで雑誌に載ったって言ってた」

「だからや・・・」

さっきのお店を出てから急に私に寄り添って歩くようになった気がした。

目が合った時、課長の嬉しそうな顔がまた胸がキュンとなった。

私ってこんな奴やったかな・・・とふと思ってしまった。
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