サンドリヨンに憧れて
鞄を玄関に置いてリビングに戻ると、旅行雑誌をめくっていた。

「お待たせしました・・すいません・・お茶も出さずに・・」

「ええよ。出来たなら行くか」

「あ・・はい・・」

「香澄・・連絡せなあかん所はあるか?」

「連休中なんで・・大丈夫です」

「そしたら・・行こう」

夜にこんな大きな荷物をもって出ていくなんて・・・

何も悪いことをしていないのに・・これじゃ・・夜逃げみたいと思った。

トランクに荷物を入れて課長の家に向かった。

残りの休み・・・粗相のないようにだけはしない様にと心に誓った。

課長の家は改めて見ると立派な家だった。

トランクから荷物を出して運んでくれた。

「孝男さん・・ありがとう・・」

「ええよ・・・」

鍵を開けて扉を開けてくれた。

「どうぞ・・」

「お邪魔します・・・」

残りの休み・・・ここで過ごすことになってしまった。

暇すぎる連休から、とんでもない連休に変わってしまった。

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