サンドリヨンに憧れて
「当たり前ですよ!だって・・営業の王子様ですよ!」

「ちょっと待ってくれ、何やそれ?俺が王子様って?」

「そうですよ。独身女子がみんなそう呼んでます・・・」

「俺の年齢わかって言ってんのか?」

「加藤孝男さん・・30歳・・・独身で男前・・・
仕事もできて・・彼氏や旦那にしたい男性・・社内でナンバー1・・」

「こんなに褒められるの初めてやな・・」

「それだけみんなが課長に好意をもっているんです」

「仕事しているだけやのに・・・」

「そんな男性に・・女子は魅かれるんですよ・・・」

「じゃ・・横山さんは?俺みたいな男・・どう思う?」

「そうですね・・・男前で仕事も出来る。だけど・・何か秘密がありそうな・・・
ミステリアスな感じが・・そのメガネの奥に・・何かありそう・・・あ・・
すいません・・偉そうなこと言ってしまって・・・」

「今までそんなこと言ったのは横山さんだけやな・・やっぱり仕事が
できる女は・・見る所がちゃうな・・・」

「は?私は仕事なんてできませんよ・・課長には毎日、鍛えられてはいますけど」

「俺のこと・・鬼軍曹って呼んでるやろ?」

バレてる・・誰がそんなことを・・・

「え?何のことだか・・」咄嗟にとぼけた。

「残業してた日・・喫煙所で俺のことそう呼んでたやろ・・」

「え・・・」

「俺ってそんなに横山さんにきついか?」

「え?あ・・仕事の時は・・容赦ないというか・・私以外の人でも
そうだと思いますけど・・ね」

「じゃ・・部下にはもう少し優しくせんとあかんな・・」

苦笑いしながらお酒を飲んでいた。
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