サンドリヨンに憧れて
朝食を外で済ませ、近所のスーパーに立ち寄り買い物をしていると

藍子からメールが届いた。

「15時に来るって・・」

「じゃ・・夕飯作って食うか」

「そうですね・・じゃ私が作りますから」

「楽しみやな・・足りへんものは買っとけよ」

「孝男さん・・調理器具はありますよね?」

「大丈夫や。なんでもあるぞ」

「調味料は?」

「最低限の物はある。ないのは・・変わった香辛料ぐらいやな・・」

「わかりました」

カート山盛りに買い物を済ませて急いで帰った。

「キッチン借りますね・・」

「もう香澄のもんやから・・好きに使ってええから」

「私のって・・・おかしいやんか・・」独り言を言いながら

買ってきた食材を詰め込んだ。何もなかった冷蔵庫には

一般家庭と変わらないぐらいいっぱいになった。

「じゃ・・くるまでに掃除しますね・・」

「ええよ・・そんなことまで・・この家は掃除する人に頼んでるから・・昨日も
おらん間に掃除してくれたから・・」

「え?それって代行ですか?」

「一人暮らしやから・・実家から来るんや・・」

「明日からは頼まなくていいですよ。連休中は私がするんで・・・」

「わかった。じゃ断っておく」

また王子の一面を見た気がした。

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