サンドリヨンに憧れて
もう限界・・・身体がそう思った時、彼が私の反応に気がついた。

耳元で囁く言葉・・・「香澄・・・愛してる・・・」

その声を聞いた後・・私の背中は弓のように反り上がり彼の腕をギュッと握った。

同時に彼も私に最後の力を振り絞り思いを身体中に注いだ。

お互いの息が上がっまましばらく抱きあって呼吸が整うのを待った・・・

暫くしてゆっくりと彼が身体から離れて隣に寝た。

「大丈夫か・・」少し掠れた声で私に言った。

「うん・・」返事をして彼の胸に引っ付くように顔を埋めた。

「出でこい・・」

「まっ・・て・・」

現実に引き戻されてあまりの恥ずかしさに彼の顔を見ることができなかった。

私の彼といっても・・・仕事上は上司であって・・・

その上司に、見せたこのない自分を見せてしまった。

その思いが頭から離れなかった・・・。

彼の指がゆっくりと私の髪に触れ、指先に絡めてあそんでいるように感じた。

彼が体勢を変えて、横向きになり胸に顔がピッタリとひっついてしまった。

まだ早い心臓の音が私に伝わってくる・・・

「孝男さん・・・」

「ん?・・」

「・・休ませて・・・」

「わかった・・・」

そのまま目を瞑り彼の温もりの中・・・・目を閉じた。



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