サンドリヨンに憧れて
ドアをノックして入ると誰かと電話をしていた。

相槌しか聞こえないので誰と話ているのかはわからなかった。

「・・じゃ・・そう言うことなんで・・また・・」

そう言って電話を切った。

「ごめんなさい・・電話中やったのに・・」

「ええよ。兄貴やったから」

「え!お兄さん・・・って副社長・・・」

「あ・・気にせんでええ・・・」

「あの・・・私のことは・・・」

「兄貴には伝えた」

「え・・・」

「心配するな・・喜んでたから・・・」

「嘘・・・」

「そんな顔するな・・あのマスターの娘って言ったら驚いていたけどな・・」

そっと私の身体を引き寄せてやさしく抱きしめて頭を軽く撫でてくれてた。

「じゃ・・・社長・・お父様・・は?」

「親父?あ・・時間の問題かもな・・・」

「え・・・・」

「大丈夫や・・・親父も店の常連やから・・俺らより・・仲がいいぞ」

「嘘・・・それじゃ・・・」

「大丈夫・・・マスターの娘って知ったら、反対に喜ぶかも・・」

その言葉の後は驚き過ぎて声もでなかった。
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