サンドリヨンに憧れて
次に目が覚めた時はもうお昼だった。

「あ・・寝すぎた」起きた時には私は部屋に一人だった。

ぼーとした頭のままリビングへ行くと、孝男さんは誰かと電話をしていた。

「・・晴香のことは・・」

出た・・・昨日の女性の名前だった・・・

私が降りて来たことにも気づかずに電話を続けていた。

このまま黙って聞いていていいのか・・・声を掛けようか・・・

「ああ・・覚えてるよ・・忘れるか・・」

その会話はわたしの胸をぎゅっと締め付けた。

黙って2階に引き返そうとした時、私の存在に気がつき、電話の相手に言った。

「ごめん・・また連絡する」

電話を切った後、私に声を掛けたが、私はそのまま何も言わず2階に上がってしまった。

「香澄!」

「すいません・・聞くつもりはなかったんやけど・・」

「・・ちゃんと話するから・・聞いてくれ」

「え?」

「・・・俺の過去のことやから・・」

顔つきが変わった・・・これはあまり良い話ではなさそうな気がした。

「・・・わかりました・・着替えてから降ります。少し待ってて・・」

寝室に戻り着替えてリビングへ行った。





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