サンドリヨンに憧れて
ソファーに座る彼の横に行くと、私をやさしく肩に腕を回しもたれさせた。

「この話は・・・美鈴も知らんことや・・・」

「え?美鈴さんが知らないこと?」

「そう・・・つきあった女性には初めて話をする・・」

「さっき何処から聞いた?」

「実は・・昨日の夜・・寝言で晴香さんに謝ってました」

「そっか・・変なこと聞かせてごめんな・・」

少し恥ずかしそうな表情で私を見て言った。

「晴香ってな・・・美鈴の前につきあってた人で・・久保も知ってる人や・・」

「え・・・・」

「美鈴も知らん高校の時の彼女でな・・俺が追いかけていたら・・
今の人生変わってたかもしれん・・・そんな人や・・・」

その言葉を聞いて少し嫌な予感がした。

「昨日・・急に隠れたやろ・・」

「でも・・・それなら隠れなくても・・」

「・・・そうやな・・でもな・・見たくなかったんや・・」

「何で?」

「思い出したくないこともある・・」

「それだけですか?」

「俺もあの時はまだ高校生やったしな・・・色々とな・・」

「だから・・夢で謝ってたんですか?」

「彼女は・・年上で・・・俺の初恋の人でな・・・兄貴の友人でもあって・・
彼女が大学卒業後・・ある都合で海外に行ったんや・・・」

「そうですか・・・」

「あの時俺も追いかけてたら・・・」
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