サンドリヨンに憧れて
何だか複雑な気持ちのまま言われた通りに用意を始めた。

「香澄・・この鞄使っていいから」

出されたのは有名ブランドバックだった。

「これ・・大きい過ぎませんか?」

「それじゃ・・俺のも一緒に入れて・・」

きちんとまとめられた一式を渡された。

さすが出張慣れ・・用意する物がコンパクトにまとめられていた。

「香澄・・・何着ていく?無かったらマンション寄るけど」

孝男さんの服を見て考えた・・・

「孝男さん・・高級な所ですか?」

「別にそんなとこちゃうから・・俺もこれで行くし・・」

ラフな格好だったので、私もそんな感じでまとめた。

「香澄・・運転できるか?」

「一応・・」

「じゃ・・エンジンかけて来てくれ・・」鍵を渡された。

先に駐車場へ行き車のドアを開けると熱気に顔をしかめた。

「あっついなー・・」

エンジンをかけて冷房を一気に回し、窓を全部前回にして熱気を追いだした。

暫くすると電話をしながら鞄を持って出てきた。

「じゃ・・これから行きます・・」

電話を終えて鞄を後ろの席に置き助手席に座ろうとした。

「え!私が運転?」

「そうや・・この車も慣れておいたらええやろ」

国産の高級車・・・緊張しながら運転席に座った。
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