アクアブルーのラヴソング
6
「おいしかったでしょぉ~」
キッチンの方から美耶子の声がきこえる。
「うちのママねーうちでケーキ教室もやってるんだよ。このあいだもねー・・・」
ぼくは美耶子の部屋で、隙間無くCDの埋まった巨大な棚の横に立てられた、深い水色のアコースティックギターを見つめていた。
振り返ると、美耶子がジュースの入ったふたつのグラスをのせたトレイを持って立っていた。
「ギター弾くの?」
ぼくは尋ねた。
美耶子はしばらく黙っていたが、やがて軽く笑みを浮かべると、机の上にグラスを置きながら答えた。
「うん。学校でロックバンドもやってるんだよ。もしみんなの前でやることがあったら見に来てね。はい、ジンジャーエール」
ぼくは、机のほうに歩み寄り、グラスを手にして尋ねた。
「どういう曲やるの?」
美耶子はぼくを見上げて、再び黙った。
きっと彼女の内面に深く関わることなので、警戒し始めていたのかもしれない。
やがてジンジャーエールを一口飲んでから、彼女は何気ない口調で答えた。
「コピーばっかだよ。カーディガンズとかココスマとか。知ってる?」
そう言うと美耶子は棚の方へ向かい、きょろきょろとそのふたつのバンドのCDを探し始めた。
「パートは?」
「Oh, アー、あたしはボーカルとギター」
「オリジナルとかないの?」
美耶子は目を輝かせながら、パッとこちらに振り向いた。
出会ってからまだ三時間も経っていないが、彼女のこんな表情を見るのは初めてだった。
キッチンの方から美耶子の声がきこえる。
「うちのママねーうちでケーキ教室もやってるんだよ。このあいだもねー・・・」
ぼくは美耶子の部屋で、隙間無くCDの埋まった巨大な棚の横に立てられた、深い水色のアコースティックギターを見つめていた。
振り返ると、美耶子がジュースの入ったふたつのグラスをのせたトレイを持って立っていた。
「ギター弾くの?」
ぼくは尋ねた。
美耶子はしばらく黙っていたが、やがて軽く笑みを浮かべると、机の上にグラスを置きながら答えた。
「うん。学校でロックバンドもやってるんだよ。もしみんなの前でやることがあったら見に来てね。はい、ジンジャーエール」
ぼくは、机のほうに歩み寄り、グラスを手にして尋ねた。
「どういう曲やるの?」
美耶子はぼくを見上げて、再び黙った。
きっと彼女の内面に深く関わることなので、警戒し始めていたのかもしれない。
やがてジンジャーエールを一口飲んでから、彼女は何気ない口調で答えた。
「コピーばっかだよ。カーディガンズとかココスマとか。知ってる?」
そう言うと美耶子は棚の方へ向かい、きょろきょろとそのふたつのバンドのCDを探し始めた。
「パートは?」
「Oh, アー、あたしはボーカルとギター」
「オリジナルとかないの?」
美耶子は目を輝かせながら、パッとこちらに振り向いた。
出会ってからまだ三時間も経っていないが、彼女のこんな表情を見るのは初めてだった。