恋、物語り



「あの、あの……」

どうしたの?と、優しく私の前に座る彼の顔が見れなくて。
赤くなって「あの…」としか言えない自分の姿は誰が見たって滑稽だろう。


「アヤ?」

覗き込んだ彼の顔に、少しだけ理性が飛んだ。



「あのーーっ!
小林、くん!……は、エッチ…したいと思わないの?」


は?と、目を丸くさせる彼の顔を見ると、なんてことを言ったんだろうと自分が恥ずかしくなって。
穴があったら入りたいと言うのは、こういう時に使う言葉たのだと痛感した。



「ご、ごめん…変なこと言って…」

あははと誤魔化すように笑う私に、彼は真剣な瞳で私を見て、ゆっくり口を開いた。


「したいよ。アヤと。…俺だって男だよ?」


一瞬にして空気が変わった気がした。
彼は「アヤから言わせちゃったね。恥ずかしかった?」と照れていうと、私にキスを落とした。



「アヤ、良い?」

その綺麗な瞳に、首を機械的に縦に動かすことしか出来なかった。

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