恋、物語り
綺麗な家に、綺麗にシーツが整えてあるベッド。
でも、その綺麗なシーツは私たちのせいで淫らな曲線を描いていた。
横には無防備に眠る小林くんの姿。
ーー…ああ、あたし、この人に全部見せたんだ。
頭で考えると、顔の暑さがまた上昇していく。
4月、日はまだ短くて。
でも、確実に長くなって行く。
午後4時半、携帯で時間を確認してそっとベッドから降りて、散らばった制服を着ていく。
「ん…アヤ?」
「あ、起こしちゃった?」
んー、と目をこすって起き上がる彼の姿がいつも以上に愛しく思えるのは、なぜだろう。
「…へへ」
照れ笑いしか出来ない私に、彼は私服に着替えて「笑うなよ」と、同じように照れて笑う。
その空気が、とても心地よかった。
「離れ難いけど…そろそろ帰る?」
別れの時間がいつも以上に寂しいのは、なぜなんだろう。
「……まだ、離れたくないけど、遅くなるし帰ろうか」
カバンを肩にかけて、彼の手をとる。
ギュっと握る手が痛いほどだった。