恋、物語り
ピリピリピリピリーー…
カバンの底で着信音が流れた。
きっと彼からだろうと、手にとると、ディスプレイに表示された名前はナツキだった。
「もしもーし」
『もしもし?アヤ?大人の階段登った?』
「…ちょっと!いきなり!?……まぁ、うん。登った」
いつもクールな雰囲気を放つナツキがキャーと大声で叫ぶから、耳がキーンと鳴った。
終始興奮したナツキが、マシンガンのように話し続けるからそれに相槌を打って、楽しい夜は更けて行った。
電話を切ると、静寂した空気が部屋を漂う。
やはり少しだけ寂しかったけれど、今日のことを思い出すと幸せな気持ちになってお風呂に入ることも忘れて眠りについてしまった。