恋、物語り
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「ねぇ、私そろそろ帰るね」
「…え?もうそんな時間?」
時計は18時を指そうとしていた。
空はまだ明るく帰り道はまだ安全ではあるが
家では母が夕飯の支度をしているだろう。
カバンの中からクシを取り出して
乱れた髪を整え
リップをひと塗りして
カバンを肩にかけた。
「準備出来た?行こうか」
付き合う前から変わらない
彼の笑顔を見てホッとする。
デートの帰りはいつも家まで送ってくれる。
2駅先で、電車代も勿体無いからと
断ったこともあったけど
アヤにもしものことが困るーー…
と、言ってくれた。
その彼の優しさが本当に嬉しかった。