恋、物語り
「あぁ、良かった」
ホッと胸を撫で下ろしたように彼は屈託のない笑顔で私を私に見せた。
「絶対ふられると思ってたからさ。うん。考えてみてよ」
あぁ、もう授業始まるね。
そう言うと彼はバイバイと手を振って足早に視聴覚室を出て行った。
ーーー……
授業に行かなくちゃ…
そう思うのに私の足は鉛のように重たく動かない。
初めての告白。
男の人が私を見て“好き”と言った事実。
自然と顔が緩む。話したこともない人からの告白でも自分に好意を持ってくれていると言うだけで嬉しかった。
「小林くん、か…」
ポツリと呟いて、私は教室に戻った。