恋、物語り
一両目から順に歩いてナツキを探した。
三両目でやっとナツキの姿があった。
ショートパンツに黄色のTシャツ。
長い髪の毛をアップにまとめていた。
「ナツキ!おはよう」
「あ、アヤ、おはよう」
いじっていた携帯を閉じて、そっとバッグにしまって私を見る。
「コバ元気?」
彼女はいつも唐突だ。
「うん。元気だよ」
ナツキと彼の話をするのは少しくすぐったい。
お祭りがあった次の日、私はナツキに電話で報告した。
ナツキは「そんなの上手くいきっこない」と始めは言っていたけれど、最後には「アヤがコバと向き合うって決めたなら応援する」と言ってくれた。
「海まであと少しだー!」
そう言うナツキはとても楽しそうだ。
海はとても広い。
夏、夏休みということもあって海水浴に来ている人たちはたくさんいた。
お祭りの時のように、たくさんの人が。