恋、物語り
「聞いてないよー」
私は今、困惑している。
そう、ナツキから何も聞かされていなかったから。
無論、ナツキは「絶対言った!」と言い張る。
そしてこう続けた。
「まさかコバとアヤが付き合うなんて思ってなくて
まして中島が好きだったなんて聞いてなかった。
だから、アヤにも出会いがあればなぁーって思って
セッティングしちゃったんだもん」
まさかこんなことになるとは思ってなかった。
今頃、ナツキと2人海に入って持参したビーチボールでキャーキャー言い合ってたはずだった。
なのに、なぜ目の前にナツキの彼氏とその友達がバーベキューの準備をしているのか。
「大丈夫だって。彼らだってもう18歳なんだから」
その言い訳がよく分からない。
18歳だから何だと言うのか。
「楽しく遊べれば良いじゃん」
ナツキはあっけらかんと言い放った。
「コバに悪いなーとか思ってる?」
「そんなんじゃないけど…」
じゃあ、良いじゃん。
そう笑顔で言われたら何も言い返す気になれない。
「…はぁー」
小さくため息をついて、困惑した表情を見せたが、バーベキューのいい香りが鼻を刺激する。