恋、物語り


「なしたのさ。そんな顔して」
そういうと彼女は私の席の前の椅子に腰を下ろし手に持っていたお弁当を広げて続いて言った。


「で?アキコの用事なんだったの?」

あぁ、話さなきゃ…と言葉にしようとするとまた顔が赤くなるのを感じた。



ナツキはそんな私を見ると顔を緩ませて
「あ、さてはコバに告られたな?」と言った。

「え!?なんで?なんで分かるの?」
驚いてだらしなく開いた口をそのままに彼女に問い詰める。



「え、だって有名じゃん。コバがアヤのこと好きこと」

「嘘!そんなの聞いたことないよ」

「…うん。すごいと思うよ。アヤのその鈍感さ」



頭の中が混乱してうまく言葉にできない。
有名だなんて、みんなが知っているということ?
そう思うと教室にいる人たちが先ほどの出来事を知っているんじゃないかという感覚に陥って恥ずかしくて鼓動が早くなる。




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