恋、物語り




「俺、8組だ。アヤは…1組だって」
「離れすぎ!」

学年は8クラスで、私たちはまたクラスが離れた。
けれどそれはどうしようもないことだから諦めるしかない。


「あ、ナツキとまた一緒だ」
クラス名簿に友達の名前があるだけで安心する。
「良かったじゃん。俺は中島と離れたわ」
掲示板を確認すると、中島くんは5組だった。



「上手くいかないもんだなー」
彼は口癖のように言う。
「また言ってる」
揚げ足をとるように私が言うから彼は私を見下ろして怒ったように照れて笑う。


彼は私の教室まで送ってくれて、自分の教室へと足を運んだ。


教室に入ると、新しいクラスに早く馴染みたいという人たちが特定の子と話すのではなく、色んな人たちに声をかけている。
それなのに、それを無関係そうに見ているナツキの姿があった。


「ナツキ、おはよう」
ナツキに挨拶をして、ナツキの前に座った。
一年生の時も同じだったように、出席番号前後の私たちは、今回も出席番号前後だった。


「おはよう。アヤと同じクラスで良かった」
突拍子もないことを時々言うナツキだけど、実はかなりの人見知りで慣れないこの環境は苦痛でしかないのだろう。

< 95 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop